ポニテと洗濯

航海日誌

北京留学9.1

9月1日

 

 日曜日。何もしないで過ごした一日だった。外に出ることすらしなかった。ぼんやりと流れていくTLを見て、ぼんやりと外を眺めて、かといってとりたてて孤独だと思うこともなく、寂しさがあるわけでも、哀しみがあるわけでもなく、強いて言うのならばうすぼんやりとした「やることやらなきゃ……」という思いだけがあった。人と話すことさえ億劫だ。疲れているんだと思う。食べ物を調達するのも面倒で、中国人たちが持たせてくれたバナナと、桃と、梨を食べた。梨はいつも私にひとつの記憶を思い起こさせる。

 中国のこの季節の梨は、形状が洋ナシに近く、味は和梨に近い。1年前、私が北京から日本に帰る日も、同じく日本語チョドダケシャベル中国人がくれた梨を食べていた。食べきれなくて、一つバッグに入れた。空港で食べようと思ったのだ。結局、私はバッグの中の梨を完全に忘れ去った。思い出したのは、日本の自宅に着いて、バッグの中身を取り出した時だった。本来、生鮮食品を海外から持ち込むことは禁じられている。空港ではチェックが入るのだ。ところが、どういうわけか私の手持ちバッグのなかの梨はそれをすり抜けてしまった。空港職員が気づかなかったのか、それとも「まあコイツこれ食べるつもりだろ、ええわ」ということだったのか、または実は梨一個ぐらいなら問題なかったのか、それは分からないが、そもかくそういう思い出。特段感情的になるほどの記憶でもないが、私は梨を食べながらそれを思い出していた。